2012年06月20日

鈴をつける

『鈴をつける』

 私が顎をツンと突き出すと、彼は蚊の鳴くような音のモーター音を鳴らして、そろり、とアームを伸ばした。その指先で摘んでいるのは、豆粒よりも小さな鈴のついたチョーカー。ちりん、ちりん、とその居場所を彼に語りかける。
「大丈夫、怖くない」
 上手にチョーカーを結べたら、彼にキスしてあげようと思う。それもとびっきりの!

***

 タイトル競作に出し損ねた何か。
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posted by いさや at 23:18| Comment(0) | 書き物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月10日

東京ヒズミランド

 夢も魔法もない世界と聞いて、正直に言えばとても期待していたのだ。望めば叶う世界は甘ったるすぎて、お菓子は食べすぎると胸やけを起こすように、私にはもうおなかいっぱいだったのだ−−なーんてことを言うと、女の子たちはせっせと反論を試みる。結局のところ、隣の芝生が青く見えたに過ぎないことを、私は転校一日目にして思い知った。

 人が嘔吐する瞬間って面白い。
 男も女も老いも若きも、みんな一様に目を白黒させ、グッ、だか、ゲッ、だか呻くのだ。そしてびちゃびちゃと白色茶色、色とりどりのゲロを吐く。何が楽しくて悲しいのか知らないけど、みんなげろげろ吐く。「大丈夫ですか」と声を掛けてペットボトルの水を差しだしても、彼らは私に気付かないか遠慮するかで、私が彼らの背中を擦れる機会はほとんどない。道行く人も見て見ぬふり。でも、そんな人々のおなかにも同じようなゲロがぐるぐる渦巻いているのだろうと考えると、私は妙な心地になる。そういう人たちが群れて海を埋め立てたり鉄筋コンクリートでビルを建てたりするのだ。働き蟻よろしく重たい荷物を抱えて右往左往。それであの七色のネオンの海ができるのだから、とても不思議なことだと思う。

***

タイトル競作。○:3、△:1、×:1

以下、long ver.続きを読む
posted by いさや at 12:36| Comment(0) | 書き物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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